時間差の博物館
もうすぐ付き合って5ヶ月の彼女と、博物館に行ってきた。
毎週会い、毎回どこかしら出掛け、会った日の晩はよく一緒に料理を作る。
喧嘩したことが無いって言うと、「逆に喧嘩したとき別れたりするんじゃない?」って言われたりするけど、仲が良いんだから仕方が無い。
博物館のレストランでご飯を食べて、久しぶりにお互いが出会ったマッチングアプリのことを話していた。
ふと思い出した。
今日は5月19日。たしか1年前の今日、前の彼女にフラれた。
しかも1年前の今日も この博物館に来て、この席から見える窓際の席でご飯を食べていた。頼んだメニューも、覚えている。
元気がなく喋らないその子に、「疲れた?」と聞きながら
頭をフル回転させ、別れ話に分岐しない未来を必死に模索していた。
よっぽど女の子の日が重いんだなーとか自分に言い聞かせつつ、どこかで、最期にその子に聴きたいこと言いたいことを、頭の中に列挙していた自分も居た。
仮にそのまま付き合っていたら、勿論今の彼女とは会わなかった。
ケーキが美味しい。ブルーベリーとクリームを掬いとり、窓際の席が
視界に入るこの席で、大好きな彼女とご飯を食べている。
いまが幸せ。この子と結婚したい。
ただ、吐き気がするその記憶を思い出し、もし上手くいってたらその時の自分はどうなっていたか、見てみたい気もした。