資本主義の敗北
同僚が「彼女が帰ったあと一人で家にいると猛烈に寂しくなる」と言っていた。
実際に経験してみると、床に落ちる長い髪、履いていたスリッパ、飲んだあとのコップ、使ったタオルなどなど、抜け殻たちが散乱している。
部屋の電気つけたときの虚無感がすごいんだと知った。
学生時代ならいざ知らず、明日からまた仕事という事実にも蝕まれる。
秋晴れの日、大きな湖の周りをぐるっと歩きながら一緒に写真を撮ったり。
脇で紅葉している木々が、「死ぬときに思い出しそう」と思うくらい綺麗だったり。
帰りによった喫茶店がとてもオシャレで、頼んだケーキがどれも美味しかったり。
そういう記憶を時折思い出して、また、泥のような社畜の日々を越えていく。